14日目




俺は元の世界に戻ってきてからはまた暗殺業をこなしていた。


俺が名前の世界に行っていた時間はこっちの世界では半日くらいしか経ってなかったらしくて、予定の時間より少し帰ってくるのが遅くなっていただけだった。


だから俺は、名前との日々が夢だったんじゃないかと思ったよ。


けど夢じゃないのはすぐに分かる。


俺の服は名前が買ってくれたんだから。


帰ってきた時の服だけは、家族の誰も知らないものだと言っていた。


それに、その……自慰しても感じなくなったのは名前のせいだと思う。


だから俺はこの二年間、ずっとあの扉を探していた。


「名前、何してるのかなぁー。向こうの世界はどれくらいの時間が経ったんだろ…」


俺のこと探してくれてんのかな、とそんなことを考えながら家に帰ってきた。


ちなみに今日も収穫はなしだ。


もう少し探して無かったら、ハンター試験を受けようと思っている。


ハンターになって、扉のことを探すんだ。


ハンターになったほうが情報は豊富に入ってくるから、きっとすぐに見つかるだろう。


††††††††††


「あーあ…。つまんねぇの。ハンター試験なんて全然楽勝じゃん」


それに名前だって見つかんねーし。


ハンター試験を受けていた俺はゴンと仲良くなって、二次試験会場まで走っていた。


結局、あの扉は見つからず俺はブタくんとおふくろを刺して家出。


そんでその後ハンター試験を受けていた。


「ははっ。…あ、キルア見て。すごく綺麗な女の人がいるよ」


「はあ、女ァ?」


ゴンの言葉に視線をゴンの向けているほうに向ける。


そこには名前、に見える人がいた。


え、いやでも二年前と全然変わらねー。


「…名前……?」


小さく呟くと、不意に女の視線が俺のほうを向く。


そして、一瞬驚いた顔をしてからにっこりと笑った。


「あれ、キルア。あのお姉さんと知りあいなの?」


ゴンの言葉も聞こえずただ呆然と女を見る。


すると、女が苦笑いしながらこっちに向かってきた。


『久しぶり、キルア。おっきくなったね』


へへっ、と笑った女…もとい名前に、俺は嬉しくなった。


名前だ、名前がいる。


やっと、やっと会えた……!


††††††††††


トリックタワーに向かう飛行船の中で、私はキルアに怒られていた。


それまではずっと試験に集中してたから特に怒られず、キルアやゴンやクラピカやレオリオと話したりしながらまったりと試験を受けていた。


キルアにも会えたことだし、と私は内心嬉しくてしかなかったから、油断して怪我したりしたけど。


それも気にならないくらい嬉しいんだ。


だって、こっちにきてからキルアが見つからず、ハンター試験にキルアが来ることは知ってたから私は仕方なく修業をしてたんだもん。


やっと見つかったんだから嬉しいに決まってる。


でもキルアは、怪我のことについてどころかハンター試験での行動についてまでくどくどと怒ってくる。


危ないから受けるにしても、あまり油断するなって。


「聞いてんのかよ、名前!!」


『聞いてるよ。ごめん、キルア。でもさ、キルアに会えたことが嬉しかったんだもん』


だから油断してた、と言うとキルアは顔を真っ赤にした。


あ、こういう所は変わってないんだ。


「ったく、相変わらず名前ってはずい。…ごめん、怒りすぎた。俺も、名前に会えてすっげー嬉しい」


そう言って顔を逸らしたキルアに抱き着いた。


『大好きだよ、キルア。これからはずっと一緒だから』


「…俺も好き。名前はぜってー俺が守る」


キルアと見つめ合って、額をコツンと合わせる。


そしてどちらからともなく唇を合わせた。


「これからはずっと、一緒にいような。どんなことがあってもさ」


『キルアからの愛があればずっと私はキルアの傍にいるよ』


臭いね、この台詞。


そう言いながら笑い、また唇を重ねた。




ぎぶみーらぶ


《あなたの愛さえあれば、愛する気持ちさえあれば何でも乗り越えられる、世界の壁だって融ける》


《これからもずっと一緒にいようね》


《そのために、あなたのありったけの愛を下さい》



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